今時の婚活事情

8月 10, 2019

2019年8月10日付 さくら新聞掲載

「IT革命」がバズワードだったのは懐かしいくらい遥か昔。今では携帯で食材を注文して自宅に届けてもらい、アプリで呼び出した他人の車に相乗りし、オンラインで見つけた世界中の見知らぬ人の自宅に宿泊するのは当たり前。大抵の人は何らかのソーシャルメディアを通じてオンラインの世界を持っている。そんな時代にも関わらず、オンラインで人に出会うことについては、未だに懐疑的な人が結構いるらしい。ちょうど友人が妙齢の妹さんのお相手探しに気を揉んでいたので、 ここで一つオンラインでの出会いについてまとめてみたい。もちろんDCについても触れるのでご心配なく。何を隠そう、DCは世界の主要都市の中でも最もデートアプリを活用する都市なのだから!

そもそも、オンラインデートサイトが初めて登場したのは1995年。今もメジャーなMatchがそれである。以来四半世紀が経とうという現在、少なくとも米国だけで1,500〜2,500のデートアプリやサイトがある。これだけあれば、趣味趣向・目的別に豊富な数のサイトがあり、結婚相手を今すぐ見つけたい人向けのeHarmonyから(毎日542人が結婚している)、今は一夜限りで結構な人向けアプリ、その中道をいくCoffee Meets Bagelや今流行りのHinge、キリスト教信者向け(Christian Mingle)や東海岸在住アジア系アメリカ人向け(EastMeetEast)、50代以降向け(OurTime)もあれば、推薦状が必要な上応募して合格しなければ参加できないパワーカップルを目指す人向け(The League)、果てはヒゲが好きな人向け(Bristlr)など、とにかく多種多様。

当然ビジネスとしても拡大しており、プロフィール執筆代行サービスなんていう周辺サービスもある。特に25歳以下と、55歳から64歳の年齢層の利用者が増えており、18歳から24歳の利用者は5人に一人(ピューリサーチ、2016年)。つまり若者にとっては、普通に使うアプリの一つという位置づけ。それどころか、最近ではカップルの馴れ初めが、これまで鉄板だった「友人経由」から「オンライン経由」になったとの調査もある。

気になる数字の、デートアプリで出会って結婚したカップルの割合はというと、今や6組に1組となっており、全米で結婚したカップルの4%が前出のeHarmoneyで出会っている(datingadvice.com)。ちなみに、2020年の大統領候補者の一人、ピート・ブーテジェッジは、初のデートアプリ経由で結婚した大統領候補者である。

しかも、米国科学アカデミーの調査では、オンラインでの出会いの方が最初の1年で離婚する確率が低く、またシカゴ大学の調査結果では、オンラインで出会って結婚したカップルの方が結婚に満足している人が多いという。ちなみにeHarmony利用者の離婚率は4%未満と、全米平均の50%よりも格段に低い。意外な朗報である。

さてDCはというと、人の入れ替わりの激しい街らしく、独身の4人に一人がデートアプリを使うヘビーユーザー都市。ここ最近のトレンドとしては、相手を選ぶ基準として政治的志向が重要度を増しているらしい。それもそのはず。DCはもともと政治で食べている街だけに意識の高さはピカイチで、9割以上がヒラリーに投票した真っ青な地区。そこにトランプ派が、短期的にせよDCに移住してきて政権を支える仕事についており、これがひいてはDCのデート市場にまで混乱をきたしているというわけ。例えば、Matchではトランプ出現以前に比べて、自分の支持政党ではない政党支持者とはデートしない、と答えた人が6 割も増加。またOKcupidを利用中のDC在住リベラルの92%も保守派とはデートしないと回答している。もはや民主党支持者にとっては、憎きトランプ派これすなわち「左にスワイプ」なのだ。確かに政治的志向はある程度その人の価値観を表すものなので重要ではあるのだが。ちなみに、プロフィール写真の段階からこれをスクリーニングするらしいのでご注意を。

オンラインでの出会いは、親戚や地元という幅広いネットワークのないexpat(海外居住者)には強い味方。アプリを駆使すれば「35億」もより現実味を帯びてくる。ビーチだろうが学会だろうがアプリだろうが、人に出会うという点では大した違いはない。むしろ、異なる出会いをそれなりの人間関係に発展できるよう、自分なりのオンライン版での攻略方法をいかに編み出すかが鍵になりそうだ。

さくら新聞より再掲

 

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