インテリの憂鬱

2019年9月7日付 さくら新聞掲載 まだ8月半ばだというのに、DCでは枯葉が地面を舞うカサカサという音が聞こえ始めている。秋の気配は冬将軍の前触れ、枯葉はその前奏曲。マイナス15度の日もあるDCの冬はなかなか厳しい。そんな訳で、寒くなる前にと慌ててシェナンドアでのキャンプを決行。2時間半ほど車を走らせるだけで、山にしては起伏のない台地と谷間に緑がひたすら広がるバージニア州にたどり着く。道路も片側4レーンあるアメリカらしく、カヤックを漕ぐ川の川幅は広く、景色はひたすら圧倒的だ。...

父親の権利

2019年6月8日付 さくら新聞掲載 DCに住みだしてからイメージが変わったことは色々あるが、「父親像」もその一つ。ある時は、出勤途中の朝のバスの中、向かい側に座る父親が幼い子供に絵本を読み聞かせていた。低く落ち着いて温かみのある声に、心なしかバスの中の空気が和む。帰りのメトロでは、デイケアから連れて帰る途中なのか、幼児を乗せたベビーカーを押す父親も見かける...

夏の予感

2019年5月4日付 さくら新聞掲載 時は薫風の候。日本では新学期が始まったばかりでやっとクラスメートにも慣れた頃だが、アメリカでは6月後半からは早々に長い3か月の夏休みが始まる。さて何をして遊ぶか。...

大いなる誤解

2019年2月2日付 さくら新聞掲載 「大変恐縮でございます」「申し訳ございません」「大変お世話になっております」 いわゆる社会人になってから、これらの言葉を今まで何度使っただろう。今では何も考えずに使っているが、社会人になりたての頃はとても抵抗があった。...