なんでないの?

2019年10月5日付 さくら新聞掲載 あなたの体は誰のものだろうか。あなたの伴侶のもの?両親のもの?どこかの国の国民だからその国のもの? 昨年、福田和子さんという大学生が始めた運動に「なんでないの」というのがある(https://www.nandenaino.com)。...

インテリの憂鬱

2019年9月7日付 さくら新聞掲載 まだ8月半ばだというのに、DCでは枯葉が地面を舞うカサカサという音が聞こえ始めている。秋の気配は冬将軍の前触れ、枯葉はその前奏曲。マイナス15度の日もあるDCの冬はなかなか厳しい。そんな訳で、寒くなる前にと慌ててシェナンドアでのキャンプを決行。2時間半ほど車を走らせるだけで、山にしては起伏のない台地と谷間に緑がひたすら広がるバージニア州にたどり着く。道路も片側4レーンあるアメリカらしく、カヤックを漕ぐ川の川幅は広く、景色はひたすら圧倒的だ。...

今時の婚活事情

2019年8月10日付 さくら新聞掲載 「IT革命」がバズワードだったのは懐かしいくらい遥か昔。今では携帯で食材を注文して自宅に届けてもらい、アプリで呼び出した他人の車に相乗りし、オンラインで見つけた世界中の見知らぬ人の自宅に宿泊するのは当たり前。大抵の人は何らかのソーシャルメディアを通じてオンラインの世界を持っている。そんな時代にも関わらず、オンラインで人に出会うことについては、未だに懐疑的な人が結構いるらしい。ちょうど友人が妙齢の妹さんのお相手探しに気を揉んでいたので、...

父親の権利

2019年6月8日付 さくら新聞掲載 DCに住みだしてからイメージが変わったことは色々あるが、「父親像」もその一つ。ある時は、出勤途中の朝のバスの中、向かい側に座る父親が幼い子供に絵本を読み聞かせていた。低く落ち着いて温かみのある声に、心なしかバスの中の空気が和む。帰りのメトロでは、デイケアから連れて帰る途中なのか、幼児を乗せたベビーカーを押す父親も見かける...